学んでも自信が持てないあなたへ──古典が教える「教学相長」の知恵

はじめに──こんな悩みを抱えていませんか?
漢方や未病について学んでいる皆さん、あるいはこれから学ぼうとしている皆さんの中には、こんな思いを抱えている方がいらっしゃるかもしれません。
「講座で学んだことは理解できたつもりなのに、いざ家族や患者さんに説明しようとするとうまく言葉にできない」
「知識は増えているはずなのに、なぜか自信が持てない」
「学べば学ぶほど、自分の知らないことの多さに気づいて不安になる」
「せっかく学んだことを周りの人に伝えたいけれど、間違ったことを言ってしまいそうで怖い」
もしこのような悩みをお持ちなら、今日ご紹介する「教学相長(きょうがくあいちょうず)」という言葉が、きっとあなたの力になるはずです。
「教学相長」──二千年以上受け継がれてきた学びの知恵
「教学相長」は、中国の古典『礼記(らいき)』の学記篇に記された言葉です。
読み方は「きょうがく あいちょうず」。意味は「教えることと学ぶことは、互いに助け合い、ともに成長させる」ということです。
一般にはあまり知られていない言葉ですが、私はこの教えに深い感銘を受け、皆さんにもぜひ知っていただきたいと思いました。
なぜなら、この言葉には「学んでも自信が持てない」という悩みへの、明確な答えが示されているからです。
原典が教える「学びの四段階」
『礼記』学記篇には、次のように記されています。
学びて然る後に足らざるを知り、教えて然る後に困しむを知る。
足らざるを知りて、然る後に能く自ら反みるなり。困しむを知りて、然る後に自ら強むるなり。
故に曰く、「教学相長ずるなり」と。
これを現代の言葉で言い換えると、次のようになります。
【第一段階】学んで「足らざるを知る」
学ぶことで、自分にはまだまだ知らないことがたくさんあると気づきます。
皆さんが「学べば学ぶほど、わからないことが増える気がする」と感じるのは、まさにこの段階です。これは落ち込むことではありません。学びが深まっている証拠なのです。
【第二段階】教えて「困しむを知る」
誰かに教えようとしたとき、自分の理解がいかに曖昧だったかに気づきます。
「わかったつもり」と「本当にわかっている」の違いは、人に説明しようとして初めて明らかになります。家族に「未病ってどういう意味?」と聞かれて言葉に詰まったり、患者さんからの質問にうまく答えられなかったりする──その「困る」体験こそが、学びを深める入り口なのです。
【第三段階】自ら「反みる」(自反)
足りないことを知ったら、自分自身を省みることができます。
「なぜ理解できていなかったのか」「どこが曖昧だったのか」と内省することで、学びの質が変わります。
【第四段階】自ら「強むる」(自強)
困難を知ったら、自ら奮い立って努力することができます。
「もっと深く学ぼう」「次は答えられるようになろう」という意欲が湧いてきます。
そして、この四つの段階が循環することで、教えることと学ぶことが互いに高め合い、螺旋のように成長していく──これが「教学相長」の真の意味です。
漢方・未病を学ぶあなたへ──「教学相長」の実践
では、この「教学相長」の教えを、皆さんの学びにどう活かせばよいでしょうか。
①「わからない」は成長の入り口
漢方や未病の考え方は奥深く、学べば学ぶほど「まだまだ知らないことがある」と感じるのは当然のことです。それはあなたの感性が正しく働いている証拠です。
「足らざるを知る」──この気づきこそが、次の学びへの原動力になります。
②「人に話す」ことで理解が深まる
学んだことを、ご家族や友人、職場の同僚に話してみてください。
医療者の方は、患者さんに説明してみてください。
「未病ってね、病気になる前の状態のことなんだよ」「漢方では体質をこう考えるんだよ」と説明しようとすると、きっと「あれ、うまく言えないな」という場面に出会うはずです。
その「困る」体験が、あなたの理解を本物に変えてくれます。完璧に説明できなくても構いません。伝えようとする行為そのものが、学びを深めてくれるのです。
③ 学び仲間と「教え合う」
講座で一緒に学んでいる仲間がいれば、学んだことをお互いに説明し合ってみてください。わからないことを質問し合うのも効果的です。
この「教え合い、学び合い」のプロセスそのものが「教学相長」の実践です。教える側も教わる側も、ともに成長するのです。
④ 周りの人の反応から学ぶ
皆さんが学んだことを伝えた相手──ご家族や友人、同僚の方々、そして患者さん──の反応や質問、疑問は、すべてあなたの学びを深めてくれる「教材」です。
「そういえば私も最近疲れやすいんだけど、それも未病なの?」という何気ない質問が、あなたの理解をさらに深めるきっかけになります。教えながら学び、学びながら教える。この循環に終わりはありません。
おわりに──学びに「完成」はない
「教学相長」が教えてくれる最も大切なことは、学びに終わりはないということです。
「もっと勉強してから」「完璧に理解してから」と思って、人に伝えることをためらう必要はありません。学びながら伝え、伝えながら学ぶ。その過程そのものが、あなたを成長させてくれるのです。
私自身、長年にわたり漢方医学を学び、多くの方々に教える立場にありますが、今でも患者さんや受講生の皆さんから教えられることがたくさんあります。教えることで「困しむ」体験を重ね、そのたびに自らを「反みて」「強めて」きました。
二千年以上前の古典が、今を生きる私たちに語りかけています。
教えることと学ぶことは、互いに助け合い、ともに成長させる。
この言葉を胸に、皆さんとともに漢方・未病の学びを深めていければ幸いです。
※「教学相長」は、私たち一般社団法人漢方未病教育振興協会のコア・バリューです。



明けましておめでとうございます。今年の書初めを『教学相長』とし、精進していこうと思います。ありがとうございました。
明けましておめでとうございます。
まさに私は今この状態と思います。最初はたのしかったのですがだんだん内容が増えてきて 自分が中途半端な理解のまま講義が進んでいくのが苦痛でした。だからこのメッセージは心に突き刺さるようでした。いろいろ理解が深まっていく過程の一つならまだまだ食らいついていかねばなりませんね。シェアタイムもう有効には利用しなければなりませんね。やっと四ヶ月終わったばかり、残りもよろしくお願いします。
明けましておめでとうございます。
喜多先生の学びを受け入れるだけでは、自分の力にならないことを痛感しておりました。
『教学相長』という言葉を知ることができたことも
考えていることが凝縮しており、終わりのない学び
に向かって歩き続けていくこと
今年の誓いにしたいと思います。
みなさんの質問も先生の回答もとても勉強になっています。
今年もよろしくお願いいたします。